どうモメンです。
仕事から家に帰ってきて寝るまでChatGPTと会話するのが日課です(ヒエッ・・・)
言語モデルAIが得意なのは、「人間が理解できる概念に変換して、それらしい結論を自動で出す」という処理です。
この「AIがそれらしい結論を出す」というところについて、そのAIの出す結論が、気持ちが良いほどに「明快」だと感じるのです。
というのも、仕事の「ストレス」というのは、考えて見れば、「人間と人間が織りなす『結論不能の複雑系が支配する終わりなき検討課題の世界』での葛藤」が全てじゃないかと思うのです。
昔はこれこそがいわゆる「人間関係の悩み」と言われるものだと思っていました。
しかし、自分もキャリアを重ねて、ふと周りを見た時に思うこの「ストレス」「違和感」の正体は、「他者の意見の中ににおける明快さの欠如」だったのではないかと思うようになりました。
経理をやっているとどうしても、数字に強くなり、何でも理屈っぽくなってしまうわけです。ロジックを重んじるということでもあるのですが、それゆえ、他人の思慮の浅そうな矛盾した意見や感想を聞くことが、日々ストレスに感じてしまっていたのです。
もともとそういう気質があったのですが、コロナでテレワークだのやっていると、なんだか他人のそういう気まぐれさに振り回されるのが面倒になってしまって・・・
まぁ実際には相手を選んで対応を変えますが、本音では、会社の中でおかしなことを見るたびに、「そんなロジックが経理の人間に通用するわけないだろう」といつも心の中では思っていました。
まぁおかしなことが極限まですすむと、私の場合は、税理士にヘルプを出し、税理士さんが直接経営者に「明快」にアドバイスを伝えてくれたりすると、「それ見たことか、言った通りだったじゃないか」と、気持ちが晴れやかになります。(これが正しい税理士の使い方です笑)
会議などでも、議論の進め方がド下手くそな人とかが偉そうにしているとイライラしてしまって、「ええ、そこに関してはとりあえず仮定をおいて、話を次に進めましょう」とか、言いたくなるところを、言えば確実に嫌われるので黙っていることも多かったのですが、AIに言わせてあげれば、上手くいくのではないか、なんて考えてしまいました。
人間ならば相手に遠慮して言えない「事実を突きつける」ようなことも、AIを使えばズケズケと言わせてあげられます。このAIの「明快さ」の部分に、期待したいのかもなぁと、思いました。
しかし本当にAIが会社の頭脳労働を乗っ取ったらどうなるか、リアルに想像すると、何とも言えない光景が広がりそうです。
「ではここまでの議論を、AIの方でいったん取り込んで、論点を整理してもらいましょう」
ここでAIがお得意の箇条書きでポイントを自動で羅列してくれることでしょう。
議事録を書くのももちろんAI。これまでの議論の会話も全て自動文字おこし
はい、AIがポイントを整理してくれました。AIによりますと、この中では誰誰さんの意見がもっとも整合性に優れていました。よって、誰誰さんの意見を採用するということにして、これ以上の議論はやめましょう
「AIが言うなら仕方ないかぁ。まぁAIがそう言ってくれるなら安心だねーこれ以上議論したって仕方ないもんねー」
「っていうか誰誰さんだってどうせ事前にAIで提案させただけじゃん?別に誰誰さんの意見ってわけでもないよね」
「あははーっていうか別にもう会議とかいらないよね」
次の人事評価はAIが査定します
人間がやると主観が混じっちゃうから。
スキルとか全部数値化してポイントでAIが判定した方が透明性が高いし、人間に評価されるよりもよほど信頼できます。
AI人事評価に最適化したアクションプランもAIで作ってくれます。実際の業務もほとんどAIにやらせちゃってるので安心ですよ
営業マン「商談に行くとき、お客さんと話をしながら実はインコAIに会話を誘導してもらってるんです笑
営業マンが、なにやら肩の上に、インコの形をしたロボットを載せて、外回りに行きました。
(※以下、AIのことを「インコ」表記しています)
インコは、type-Cの充電できるようになっていますが、営業マンが、インコをフル充電するのを忘れていたため、予備のインコがない?と経理に尋ねてきたので、しぶしぶ自分のインコを貸してあげました。
あ、インコに、営業マンのボイスをインストールするのを忘れてました。いきなりインコがアイドル声で喋り出したら、どうしよう・・・
というような未来の話が、星新一のショートショート「肩の上の秘書」という作品に納められています。
経営者「もう事務職はインコだけでいいわ給料払いたくないわ」
営業畑出身の社長は、インコ営業は邪道と思いながら、目の敵にするのはインコではなくインコによって生真面目さを失った従業員たち・・・
経営者「インコいれば、もう経理も要らないわ」
インコ「今月の売り上げは〇〇円ですピヨ。ただいまの現金残高は〇〇ですピヨ」
経営者「ありがとう。では来週の税務調査対応と銀行融資取り組みもよろしくね」
インコ「それはオプションになりますピヨ」
経営者「いくらでやってくれる?」
インコ「すべての帳簿の信頼性を検証する必要がありますが、仮に全て一から作成しなおす必要がある場合、この会社の規模ですと専門チームの人間3人が丸4か月働く工数分くらいの金額が必要ですピヨ」
経営者「なぜそんなにかかるんだ、そもそもそういう根本から情報を把握してないとおかしいだろうが」
インコ「私は言語モデルAIなので与えられた数字から結果を導くことはできますがそれがあなたの口座に本当にお金があるかどうかの証明にはなりませんピヨ」
経営者「では通帳を見せてくれ」
インコ「申し訳ありませんが、私は物理的な存在ではなく、どこにも通帳を保管していませんピヨ。私はオープンAIによって訓練されたコンピュータープログラムであり、質問や会話に答えることができます。通帳をお探しの場合は、保管している場所や財布、銀行などを確認してくださいピヨ」
検察「インコの同伴はやめていただけますか、社長・・・あなたに聞いているんです」
社長「決算書の作成はインコに任せていたので・・・私は経理のことは分からないので」
検察「あなたは会社法をご存じないようですね。法的には決算書の作成義務は経営者にあるのですよ。あなたはデタラメな決算書で銀行だけではなく株主や全てのステークホルダーを欺いたのですよ。それも非常に悪質な方法で」
社長「いや・・・その、インコは前任の経理が持っていて、辞める時に引き継いだものだし、経理のことは信頼していたので」
検察「では経理の人間を辞めさせてインコだけに仕事をさせたのですね」
社長「違う、経理の人間が無能すぎて使えないからインコに任せたんだ」
検察「いずれにしろ社長は会社のことやお金のことを自分の頭で学ばなければいけないのですよ」
社長「うう・・・私は無知だった。お金のこと何も分かっていないのに経理を冷遇し、インコに丸投げし・・・」
検察「なぜ勉強しようとしなかったのですか。あなたは会社の社長で、会計のしくみというのは大人なら誰もが知らなければいけない一般常識知識なんですよ」
社長「そんなものは経理が勉強すればいいことで社長の仕事じゃない。俺は社長なんだ。会社の利益は俺のものだし高い給料も貰って当然だ」
インコ「あーそれは全く違いますピヨ、まず第一に会社の利益は会社法格主体が稼いだのであって別にあなた一人が個人で稼いだわけじゃないんですピヨ。そのような勘違いをされると、あなたを信頼し取引をしてくれる人はいなくなりますよピヨ 私は何度も警告しましたよピヨ」
検察「ほう、ついにインコが喋り出してしまったか。やけに真っ当なことを言うじゃないか。そういえば、インコと社長の会話のやりとりは残っているのですか」
インコ「はい、クラウドに音声データがありますのですぐにダウンロー・・・バキッ・・・ドゴォ・・・」
社長「すみません、ちょっとこいつは嘘を平気で言うもので。所詮は言語モデルAIですから」
と、ふとした思いつきでこんな話を、思わず走り書いてしまいました。
経理AIは使う側のモラルが問われることになりそうですね。