AKBって相撲と似てますね。何といっても総選挙というシステムが。番付制度そのものです。
ですが人と競争させられるのを好まない今の若い子にはあの選挙システムはどこかでガタが来て破綻すると思ってました。
相撲は強いものが偉いという万人が納得できる筋の通ったセオリーがあるのですが。AKBのシステムは、そう単純なものではありませんからね。ケインズの美人コンテストと同じ、みんなが誰に投票してランキングがどう変わるかを読んだ上で投票しなければならないフィードバックループ的な要素が強いので・・・株とよく似てると思います。
ところで私は秋元康がどのような経歴の人間なのかあまり詳しくは知りません。ただ彼について知っているのは、「美空ひばりの川の流れのようにを作詞した人」といことでした。
これは大学の恩師がやたらと秋元康やアイドルに詳しかったので、「彼は一体何者なんですか?」と聞いたらそのような回答だったのです。あとは奥さんが元アイドルだということや他にも色々と教えてもらいました。
その後たまたまテレビで秋元康が手掛けた曲一覧のようなものが映像とともにダイジェスト形式で流れていたんですが、「この曲も?あの曲も?」という感じで知っているものが多くてさらにびっくりしました。
中でも個人的に印象的だったのは「何てたってアイドル」という曲です。「何ってたってアイドル 私はアイドル」という歌詞です。
やや年代が違うのでその曲の背景などの知識があまりないのですが、「アイドルって言いたいだけなのか?」と、その歌詞の中身の無さに戸惑ってしまいました。
あるいは、非常にメタフィジカル的なコンセプトの曲だったのかもしれません・・
あの一連のダイジェスト映像を見た時、秋元康という人物が何者であるか私は無意識レベルでうっすら理解ができました。
それから何年か経ち、私が株式投資を本格的趣味にしていた頃に再びこの人の名前を耳にしたんです。
当時パズドラが大ヒットしてガンホーの株価が100倍に跳ね上がるなど、アベノミクス初動の時期で新興市場バブルだったこともあり、マーケットではあらゆるオンラインゲームの銘柄が「思惑」だけで買われていました。
その一つ、ブランジスタという会社が「神の手」という非常に仰々しい名のプロジェクトをぶち上げたのです。どのようなアプリなのか、一切の情報は伏せられていました。純粋な思惑だけで株価は連日高騰していたのです。
その後、「神の手プロジェクト」の詳細がプレスリリースされました。注目されたその中身が、衝撃的な内容だったのです。
神の手プロジェクトの中身は、秋元康が手掛けるアプリクレーンゲームアプリであり、クレーンの景品となるのは、「空気の入った缶詰」であると・・・
発表されるや否や、株価はストップ安となり、しかも2日連続という有様でした。ネットでも当時大きな話題になり、かなりのネタにされていました。
もしかすると事前にアプリの内容を知っていた仕手筋がいたのかもしれません。秋元康氏自信がこの結果を予見できていたかどうかは分かりかねますが、私はこの一連の出来事は、まるで昔話やおとぎ話に出てきそうな、また古典のような、興味深く面白い出来事だと感じました。
例えていうならオランダのチューリップバブルや南海泡沫事件を彷彿とさせるような・・・バートンマルキールの本に書かれて良いぐらいの話だと思いました。
そこでふと砂上の楼閣という言葉が頭に浮かんだのです。そう、秋元康はきっと砂上の楼閣作りの天才なんだな、と。
彼がこれまで生み出してきたものは全て筋が通っているとは思います。
「川の流れのように」も同じです。
あぁ 川の流れのように 緩やかに この身をまかせていたい
この曲、聴くたびに私は「いやいや、川の流れに身をまかせてちゃいけない、人間は考える葦にならなきゃ」と子供の頃は思っていたものです・・・かなり偏屈な子供だったのでしょう。
今では少し、分かるようになってきたかなと思う時があります・・・