どうモメンです。
本日は最近よく見るCMでおなじみの某・経費精算システムを使ったリアルな感想について語りたいと思います。
今からやっと導入では・・・ちょっと遅すぎる!?
はっきり言って、これ系のシステムは1年前に導入終わってないと厳しいレベルです・・・。
何がまず厳しいかというと「導入設定」がそこそこ大変なのです。機能が充実している分、全面利用の道のりは長く、システムやITをよく理解した上で、最初の作り込みが大事です。これは片手間でできるものではありません。
今からなら、社内決済だけは取っておいて、インボイス対応が一通り落ち着いて余裕ができてから、すぐ導入するのがいいのではないでしょうか。
結論:楽になった
結論から申しますと、楽でした。製造業でもぜひ導入するべきだと思います。
まずすごいと思ったのが、「テンキーを触ることなく費用が計上できる」ような設計になっていることです。
流れとしては、①請求書をスマホで撮影→②自動で金額や会社名が入った伝票が起票→③クリックで勘定科目を選択→④仕訳取り込み
のようなステップの作業となり、マウス操作だけで全て出来ます。
月末、請求書を開封しては、ひたすらスマホでカシャカシャやってます。そんな経理の仕事風景の時代が来るなんて、ちょっと前の常識では考えられなかった、、、でもシステム導入で、一夜にしてそうなってしまったのです。
写真に撮った後の請求書の紙は速攻でゴミ箱行きです。ただ、そこからの大量の画面クリック作業をぶっ続けでやることで目が疲れるという欠点はありますけどね。
さすがに1日500件請求書が届いて経理が一人で処理するような会社ではこのやり方でもキツいかと思います。連続スキャンして一括登録できるAIとかを搭載しているシステムを使うかお金を払って従量課金で外注するのが良いでしょう。
とにかく、これにより請求書処理と支払業務はだいぶ楽になりました。
それから「伝票整理」にかかる時間もトータルでは各段に少ななりました。
導入にあたり、業務の棚卸しは絶対必要です。
こういうものを導入するにあたっては「何をやめるか」ということをまず考えなくてはいけません。
私の場合は「伝票整理」をやめることにしました。とにかくスキャンや写真でデータを取り込んで、あとは箱に封印するなり捨てるなりして、整理はしないように、運用を変えました。
こういう経費精算システムは納品書は対象外にしているところもありますので納品書は電子化できない場合も多いかと思うのですが納品書が税務調査等で重要になることはほぼないと考えられるため、廃棄はしないまでも「まとめて箱に入れておいておく」程度の簡素な補完でいいのではないかと思います。ここで会社ごとや日付で分けたりしてしまうともう大変です。とくに製造業はすごい量の納品書を受領しますので。
あとは、FAXで請求書を先に貰うパターンなどがあるかと思いますが、こちらについても、後で原本が送られてくると差し替えの作業が面倒くさいので、もうFAXを原本として取り扱う運用に替えていっていいのではないかと思います。つまり「今後はFAXのみでいいので原本郵送はしなくていいです」と取引先に通知するのです。法律上、全く問題ありません。
それから請求書の内容のチェックもほぼ形式的のみでほぼ行っていません。何か請求書に間違いがあった時にその責任が経理に行かないようにする仕組みを、システムの中で作ってしまえば、究極的には請求書の中身の確認を経理がやる必要はないと考えました。
最後の振込前の支払データ確認作業なんかも、何回もチェックしないとついつい不安になります、最初に費用計上するときに確定させる運用に替えていくしかないと思っています。
ちなみに、書類廃棄ポストを、社内にデカデカと設置するのもおすすめです。このような物理的な象徴こそが、人々の潜在意識にアンカーを植え付けることにとても役立ちます。システムは目に見えないですが、ポストという存在は非常に単純明快です。
突如、オフィス内に謎のポストが出現すると、そこに何かを入れたくなるというもの。
この分かりやすさや、単純明快さこそが、成功の秘訣だったりするのです。
そしてこの謎のポスト製作は、社内の工作やデザインが好きそうな人に、あえてお願いしてみるのもいいですね。実は、こういうのでおしゃれなのを作って欲しいんだけど、、、とアイデアを伝えたら喜んで作ってくれますし、実際に使ってくれたらその人も喜んでくれます。小さなことですが、こう言うふうに周囲を巻き込んでいくことも大事なのかもなぁと思いました。
楽じゃなかった、「苦苦導入設定作業」・・・でも楽しかった
CMを見ていると専任のサポート担当者が、設定をやってくれるのかと思いますが、実際には設定はこちらで全てやらなければならず、ものによってはITやデータ処理の知識がかなり必要なものがあります。
こまかな手当計算やルール設定では、自分で計算の「IF」式を設定に埋め込んでやっていくものもあります。サポート担当はやり方は教えてくれますが基本的に全ての設定を自分でやらないといけません。
たとえばCSVのデータを出力して取り込む時に「先頭の0」を残した状態で、エクセルでCSV編集しなければならないのですがそれをやる方法なんか、マニュアルを読んでも、ややこしいですからね。銀行口座のCSV登録の時に一番苦戦しました。
(これはエクセル最大のデメリットと言われています。私は必殺技のパワークエリで押し切りました)
来る日も来る日もこんな作業をやっていると、導入マスタ設定が終わる頃には、すっかりエクセル上級者になっていました。これができる経理は間違いなく社内SE的立ち位置になります。
このレベルのデータ処理に強くなると将来どんなシステムも楽に扱えることでしょう。
ここまで経理担当者のITスキルまで引き上げてくれる副次効果まで計算してシステムを作り込んでいるなら、このシステムは大したものだと思います。
それから「ここはこういう風に変えたい、新しくこういう使い方をしてみたい」とポッと思いついたら簡単に設定を変えられるように設計されているのもよくできていると思いました。
思いついたことが、どんどんできてしまうというのは、楽しいです。
こんなにやりがいのある仕事はなかなか経理の普段の仕事にはありません。
導入が終わって運用が始まった時は、妙な寂しさすら感じてしまったぐらいです。やりがいのある時間が終わってしまう寂しさ。
従来の業務システムでそういう変更をお願いしたら、「仕様変更」扱いで5万10万円もお金を取るのがあたりまえです。
会計システムでも、とある二つの帳票を合体したものをエクセル出力できるように変えてもらえないかお願いしたら、50万円かかると言われたことがあります。
「は?50万?自分でマクロ作ったほうが早いわ」と即効でマクロを作りました笑
さすがにクラウド型の経費精算システムはこういう「絶対必要な機能」がオプション扱いというのはあまりないかと思います。※電帳法オプションはありますが
一人経理でシステムがブラックボックス化する懸念
一人でシステム導入設定に関わっていると、私がいなくなったら誰がこのシステムを管理者として運用していけるのだろうという一抹の不安が、やはりクラウド経費精算システムに対しても、よぎりました。
まぁそんなものは、今に限ったことではありません。会計システムやそれ以外の、経理に押し付けられた社内システムの全てがそうです。面倒なことを一人の人間に押し付けた会社が悪いのであってその経理担当者のせいではないと思うしかありませんね。
その中では、経費精算システムはまだわかりやすい方じゃないかと思います。
一つだけ言えるとしたら、あまり標準的な使い方以外の使い方で、システム設定をいじくりまわさないほうがいい、ということですね。
従来の会社のやり方の通りにシステムを合わせるのではなく、システムに会社のやり方を合わせていく方が、各段にメリットが大きくなります。
たぶんここで躓いてしまうと「全然楽じゃない!」になってしまうんじゃないかなと思うんです。
でも業務運用をシステムに合わせようという考え方は、普遍性があると思われますので、ぜひ新しいシステムを社内展開する際は、強調するべきだと思います。
「今までの当社のやり方とは変わりますが、長い目では絶対このやり方の方が持続可能でメリットがあります」としっかり強調して説明しておくことが大事です。
私の場合も、精算の方法ひとつとっても大きく変更になる部分が大きかったので分かってもらうのがなかなか大変でした。それでもせっかく新しいシステムを導入するからには、古いやり方を維持することにはこだわらず、どこかで見切りを付けて、合理的なやり方に替えていかないといけないと思いますしそのためのいいきっかけになると思います。
改善してほしいところ
「楽じゃない」という意見もあるようですが、たしかに細々と改善してほしいと思うところはあります。
PCで明細入力しながら同時にスマホでアップロードができるように改善してほしいです。
あと請求書の支払先情報もOCRで読み込むか、T番号読み取ったら登録してある支払先マスターを探してきて紐づけ(名寄せ)機能を実装してくれたら完璧です。あと一括アップロードも対応してほしいですね。(できると思ってたらできなかったのでこれだけはややがっかりしました)
経理の仕事はどう変わるか
暇になると思います。今までも暇でしたが、ますます暇になるでしょう。ですのでさらに高度なおあつらえ向きの仕事をやらなければいけません。
おあつらえの仕事としては、他の人の仕事も暇になるようにお手伝いをしてあげる、というのがストーリー的には最もベストではないでしょうか。
それらを正しく自分の成果にする技術も磨かなければいけませんね。経理はそういうのが苦手な人も多いと思いますが、これからは仕事の食い尽くしの成果とアピールの大時代が始まると予想しております。経理は比較的恵まれた環境があり、数字に強く自分の成果をアピールしやすいと思うので、ぜひこのDXチャンスを逃さないように頑張りましょう。