どうモメンです。
本日は今までになく経理ど真ん中の内容です。
↑のイラストは監査を受けた時に見た、監査法人の会計士のイメージです。・・・こういうメガネをかけているのはシニアです。肌は青白く、眼光は鋭いです。あと文房具の扱いがプロです。
「予想の損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書を、明日までに作って」と無茶ブリされて、作り方を聞ける人がいなくても、パニックになって徹夜などしてはいけません。
キャッシュフロー計算書は簿記1級の出題範囲なのですが、2級の知識でも、作れないことはないと思います。
このような三位一体表をエクセルでどのように作ればいいか、ざっくりご紹介します。
イメージはこんな感じ
BS・PL・CFを複数シートに分けて作って、計算式を飛ばしまくるのもいいでしょう。しかし、完成までに何十回、何百回と、複数シートをまたいで計算を確認しにいくハメになること請け合いです。
むしろBS・PL・CFのような複雑な構造の計算表こそ、「作りやすい、見やすい、検算しやすい」を考えて、1シート上で完結するように作り込むのが一番いいんじゃないかと思います。
以下は、かなり簡略化してはますが、私が提案するBSPLCFの三位一体表です。
見たままですが、構成は以下の通りになっています。
左上①損益計算書・・・純利までは頑張って埋める
左中②「パラメータ」・・・・頑張って埋める
左下③貸借対照表・・・・主要項目は①と②から自動計算
右下④「検算ゾーン」・・・③から手っ取り早くCFを自動計算・検算
右上⑤CF計算書・・・・④を自動転記
①損益計算書・・・・会社で計画利益が決まる時、粗利までなのか営利までなのか、はたまた経常利益まで固まるのか、会社にによってまちまちかと思います。経理としては、とにもかくも純利益まで、がんばって埋めきりましょう。
②パラメータとは、変数のことです。損益計算書の数字を貸借対照表に反映させるためには、どのような変数(クッション)を使うかで影響数値が変わります。たとえば売上に対して、売掛金残高の回転率をどれぐらいに設定するのか、というようなことです。
回転率は実績から算出できれば、根拠のある数字として、実績の値を予想にも使えるので、予想売上高から、この変数を掛けて、予想の売掛金残高を算出することができます。このように計算に必要な変数の情報を集めてきて表示させる箇所を固めておきましょう。
では、PLからBSを作るためには、どのような情報がパラメーターとして必要なのか?
おおむね以下の要素をパラメーターとすると良いでしょう。
・棚卸資産回転率
・売掛買掛債権債務回転率
・設備投資額
・減価償却額
・予想配当額
これらの情報は、BSからCFを計算するための付帯情報として絶対に必要な情報なので、まとめて表示しておくのがいいと思います。基本的に表示されている全てのパラメーターを計算に使います。
③貸借対照表は、①と②の関係から、ほとんどすべての項目が自動算出できます。数字を埋めて行って、貸方と借り方が合わなければ、差額をすべて現預金で吸収させます。そしてこの現預金の増減が、⑤のCF計算の結果と一致するという仕組みになっています。
キャッシュフロー計算書は実はこういう構造になっている!
キャッシュフローとは何であるか、会計的な説明は、省略します。
それより知りたいのは、キャッシュフローの構造です。
先にネタばらしをしておきます。
私が考えるに、キャッシュフローは、貸借対照表そのものです。
イメージだと、逆のように思いませんか。どちらかというと損益計算書ぽい感じがします。
でも、違うんです。キャッシュフローは、単なる貸借対照表を並べ替えただけのものなのです。
貸借対照表は、借り方の資産からスタートして、資産、負債、資本の構造でできていますが、キャッシュフロー計算書は、これのお尻の、資本からスタートして、「資本(の増減)+負債(の増減)ー現預金以外の資産(の増減)=現預金(の増減つまりキャッシュフロー)」というのを表示させているだけのものなのです。
というわけで、予想の貸借対照表さえ作ることができれば、簡易的なCF計算書はエクセルで一発楽勝に作れます。
各年度の予想の貸借対照表を縦1列に作って、増減を表示させればいいだけなのです。
ポイントは、ここで資産科目の増減のみ、増減の符号をマイナスにすることです。
先の文章で、「資本(の増減)+負債(の増減)ー現預金以外の資産(の増減)=現預金(の増減)キャッシュフロー」と説明したとおりです。このマイナスのひと手間がとても肝心です。
あとは、固定資産の増減は、固定資産の取得と減価償却費に分解する必要があり、純資産の増減も、配当と純利益に分解する必要があるので、そこは、ちゃんとPLやパラメーターの数値が使えるので、うまく計算式に組み込んで、分解表示できるようにしましょう。
計画の貸借対照表も適当すぎはダメだからね
そのための「パラメーター」情報です。
これは、外部からツッコミを受けないためのエクスキューズでもあります。「数字は適当じゃないですよ、それなりに根拠はあるんですよ」というポーズです。
一人経理はゼロベース経理
前任者が引き継いだファイルもないわけではないのですが、経理の知識はあっても、どの数字をどこでどう計算しているのか、説明書きもなく、一つずつ見ていく気は全く起こりませんでした・・・
「一から作った方が早い」と直感レベルで決断できるまでそう時間がかからなかったのは幸いです。
勉強のためにテキストを読んだりもしましたが、なんだかんだ結局インターネットで調べたら、丁寧な解説サイトもたくさん出てきますし、そういうのが一番分かりやすかったりするんです。
大事なことは、とにかく困難な課題に直面した時は、頭を柔らかくすることです。
経理もこれからの時代はUIやデザインに気を配ろう
任天堂は、ファミコンの時代から、UIという概念に着目して、ハードやソフトも徹底的にUIを作り込んで開発していたそうです。UIという概念自体がまだ一般的でなかった時代に、その重要性にいち早く気付いてソフトとハードを作り込んだことで、ゲーム機における圧倒的優位性を獲得したという宮本茂氏のお話はとても興味深いと思います。
宮本氏は、今はUIという概念が一般的になった、ということにも注目しているようです。
つまりは、経理も、様々な資料を作成するときは、ぜひUIを意識して作ることをお勧めします。
上で紹介したエクセル表は、地味ですが、実際には配色やレイアウトなども気を使って、今風の経理らしくスタイリッシュに仕上げていきましょう。