今朝NHKでイギリスの若者がコロナをきっかけに働き方を見直して起業する動きがあるというニュースを見かけました。
一例目は会社勤めの女性がステイホームをきっかけにやりたい仕事を見つけて、それまでの会社を辞めてフリーランスで起業したという話
二例目は、農業が人材不足になったのをきっかけに農業の求職者と農家を結びつけるエージェント会社を作った若者の話でした。
VTRを見て、いやいやそんなにうまくいくわけないだろーと思いました。
なんとなく私にはどちらの若者の場合も結局は食べるために働かされるのが嫌なんだろうなという本音の部分が透けて見えました。
別にそれはそれでいいと思います。ただフリーランスの女性はともかく、男性の農業人材紹介の方は、お前が働けよと突っ込みそうになりました。コロナで働くのが嫌になったから人に働かせて旨い汁を吸おうなんて、あまり応援したいとは思えません。
イギリスは若者の就労意欲が低く、たとえ不況で仕事がなかったとしても外国人労働者が従事するような仕事をとりわけイギリス人の白人はあまりしたがらないと聞いたことがあります。マクドナルドの店員のような仕事、いわゆるマックジョブというやつです。ホテルの清掃員はもちろんドアマンやフロントスタッフに至っても、働いてるのはイギリス人ではなくポーランド人だったり、東欧の人が多いようです。イギリス人は支配人やコンシェルジュあたりのポストを押さえています。
ですがイギリス人の若者はたとえ仕事がなくても、移民がやるような仕事をするぐらいなら生活保護貰う方がマシみたいな感じになるようです。そういう若者に対して社会福祉がそこそこ手厚かった時代があったこともあり、それらを背景としてニートという概念がイギリスで生まれたというのを聞いたことがあります。
日本でもニートという言葉は定着していますが日本はどちらかというとひきこもりの方が市民権を得ている感じです。
マックジョブやエッセンシャルワーカーになることを拒絶し、行き着く先はフリーランスのイラストレーターや、人材派遣業となるも、生活費のために給料の足りない分は、結局は社会保障で何とかしてくれという人々が増えたら、その社会はかなりの不均衡が顕在化していると思います。
自分たちが起業してこき使われることなく食べていける仕事をしたいということ自体はいいのですが、新たなビジネスが外国人労働者や、貧しい人たちの犠牲の上に成り立つような不均衡構造を前提にしているならあまり賛成はできませんね。
一部の人間だけじゃなく全員が楽に働ける社会が実現できないのだろうかと最近よく考えるんです。
その意味で、これ以上不均衡がひどくなればエッセンシャルワーカーに対して一律にベーシックインカムを導入するというのはありなんじゃないかと思います。エッセンシャルワーカーの人口が増えてワークシェアが進めば一部の人に過大な負担がかかることを防ぐことができます。
バンクシーが病院に寄贈した絵のタイトルがその名もゲームチェンジャーだったのはかなり深い意味があると思います。