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【本当に楽?】経理職が某CMの経費精算システムを使ってみたリアルな感想

投稿日:2023年8月27日 更新日:

どうモメンです。

先日、顧問税理士から電話がありました。

税理士「電帳法義務化対応、どうしてます?」

モメン「某システムを入れて全件電子化・スキャナ保存に成功してますよ」

税理士「なにぃぃぃ」

という会話をしました。

何やら話を聞くと、ウチの会社ぐらいの規模の他社では「とても苦しみながら試行錯誤しながら」対応しているのが普通で、「システム入れてバッチリですよ~システムのおかげで助かってますよ~」という事例が、ほぼないそうなのです・・・

やっぱりそうなのか、と思いました。

おそらく他の会社が苦しんでいる理由は、システムの選定が悪かったか、良いシステムを選んでも経理が使いこなるITスキルがないか、あるいはその両方か、といったところなのだと思います。

ですので税理士さんにも、「某経費精算システムはおすすめだけど、IT苦手な経理の人は厳しいかも・・・」と言っておきました。

 

私は、スムーズに某システムを使いこなせた方だと思っていますので、本日は最近よく見るCMでおなじみの某・経費精算システムを使ったリアルな感想について語りたいと思います。

今からやっと導入・・・え、遅い?

はっきり言って、これ系のシステムは1年前に導入終わってないと、今から何もかもゼロベースでスタートは厳しいレベルです・・・。

何がまず厳しいかというと導入設定がそこそこ大変なのです。機能が充実している分、全面利用までの道のりは長く、システムやIT、経理をよく理解した上で、さらにインボイス対応のための作り込みなどもやっていかないといけません。これらは到底、片手間でできるものではありません。

でも、やるならできるだけ早く導入するべきです。今からでも遅くはないでしょう。

レシートだけじゃなくA4の請求書もスマホカメラで電子化できるのがミソ

某システムはやたらと「レシートを撮影する」イメージばかりを宣伝してますが、A4の紙の請求書もちゃんとスマホアプリで撮影&登録できます。

A4サイズの紙の請求書のPDF化=複合機でスキャンしないといけない、というのは過去の話です。

今は、机の上に紙を置いて、(システムの)アプリでカメラ起動してパシャッと撮影すれば、アプリ内でPDFに変換されてシステムに登録されるんです。これがちゃんと、法的なスキャナ保存の要件を満たしているPDFになっているんです。(もちろん登録した後の原紙は即ゴミ箱行きでOK)

実はこの「アプリを使ったスキャナ保存」が優秀すぎるあまり、紙よりも「電子取引」でもらうPDFの方が、いちいちダウンロードしたり、パソコンからシステムにアップロードしないといけない手間が大きく、明らかに面倒だったりします。最近はこの電子取引の割合がすごく増えてきてるので、困ったものです。

ただ、この電子取引も、モニター画面をスマホで撮影して登録できたらそこそこ便利なのにな、といつも思います。

(国税庁Q&AによるとNGらしいのですが、スマホアプリがめちゃくちゃ優秀だということを知ってもらい、何とか緩和してほしいと思います・・・)

 

結論:楽になった

ものによっては手間が増えたものもありますが、トータルではちゃんと楽になりました。営業部員の精算だけじゃなく、経理や工場で受領する請求書処理、月末振込データ作成までの作業も含めて、ほぼ全てシステムで完結できるんです。

(商品の仕入計上と、水道光熱費と家賃と顧問料だけは、販売システム・会計システムの方でやってます)

私の場合は製造業で、本社の販管費だけではなく工場の製造原価を含む経費も経理が請求書を受領して経費計上しているのですが、この場合でも、経費精算システムがフル活用できています。

まずすごいと思ったのが、「テンキーを触ることなく費用が計上できる設計」になっていることです。

流れとしては、①レシートや請求書をスマホアプリで撮影→②自動(OCR)で金額や会社名が入力された伝票が登録される→③各申請メニューから、伝票を呼びだして勘定科目などを選択して申請→④承認後、CSV出力で会計システムに仕訳取り込み

のようなステップの作業となり、入力箇所は最小限にして、ほぼマウス操作だけで申請処理を完結させられます。

また過去の伝票を呼びだしてコピーして上書き申請することもできるので、この次の月からは、先月データを検索から呼び出してそこに①を紐づけて日付などを上書きして申請することでコピー作業のみで作業を終わらせることもできます。

(1枚の請求書で、勘定科目や部門を細かく分けて計上しないといけないやつは結構面倒くさいです・・とりあえず「諸口」で計上して、会計システムで振替仕訳を計上した方が、楽かもしれません)

 

というわけで月末は、ひたすら届いた請求書を開封しては、スマホでカシャカシャやってます。スマホをここまでフル活用する経理の時代が来るなんて、以前は全く考えられませんでした。この「スマホで取り込み&読み取り自動」が間違いなくシステムの真骨頂だと思います。

ちなみに、スマホ以外では、卓上スキャナも併用して使ってます。

これの凄いところは、取り込んだらもう原紙はその時点で捨てて良いということです。また入力伝票を印刷する必要もありません。伝票整理という概念が消えました。これだけでも経理にとっては画期的です。

「どんどん撮ってどんどん捨てろ!」と社内では呼びかけています。

楽にならない・失敗するケースとは?

これは、ITスキルに依存すると思います。

SNSを見ていると「全然楽じゃない」みたいな投稿もいくつか見られますね。確かに、取り込んだデータに間違いがないかを会計システム側でどうチェックするか、CSVでデータ取り込みやエラーデータ対応などでミスが起きた時などは、どうやって修正対応すればいいかなど、その場ですぐ教えてくれる人はいませんから、経理でもある程度それらを自分で解決できる水準の経理スキル、ITスキルがないと、使いこなすのは難しいと思います。

まぁ一言でいえば「決して魔法のようなものではない」ということです。

ITスキルに自信のある経理の方なら、それらのこともある程度予測した上で「面白そう!やってみたい!」という思いで出発するからうまく行きやすいのだと思います。

新システムに合わせて社内運用をどう変えるか、それにともなう実務の変更点を誰に相談しどのように通知するか、どうマニュアルを作るかなども同時並行で考えないといけないので、相当、頭を使う作業になります。

これは、内部統制が形骸化している中小企業でありがちですが、それまで使っていた、エクセルやアナログ精算方式が、あまりにも「どんぶり精算」が横行していた場合に、いきなりシステムを導入すると、営業社員から「なんじゃこりゃああああ面倒くせえええええ」という大きな反発が予想されます。

これを防ぐためには、いきなりシステムを投入する前に、「将来的にシステムへ移植することを想定した改良版エクセル精算書(インボイス番号記入欄などがある)」を作って、ワンクッション期間を置くというのがおすすめです。いわば、ならし保育です。

「これからは、こんな感じにしようと思ってます」と予告編を約2か月前に見せておくのがおすすめです。利用者もイメージを掴んでもらいやすくなると思います。

あとは、「電子帳簿保存法」と「インボイス制度」という2つの法改正のインパクトが世間的にとても大きいことは、社内向けに何度も重ねて強調しておきましょう。これらが国会で審議されていた時に政治に積極的に関心を持って反対しなかったあなたたち自身が招いた結果に過ぎないと、分かってもらう必要がありますから。

余談ですが、「システム利用説明会を〇月〇日何時からやります」と最初に営業部に告知を投げた時、営業部の反応が、「どれぐらいかかるの」「全員出ないといけないの」と謎の被害者モード全開リアクションだったのは驚きました。社内の人間に敬意を払うことを忘れた傲慢な営業部員を前に、ただ反撃しないでいることはできません。「3分で終わらせます(そのかわりちゃんと聞けよ)」と事前に圧はかけることはお忘れなく。

そして、予告通りに3分で「いくら口で説明しても実際に使ってみないと分からないでしょうし、基本的にマニュアルなしで誰でも使えるように設計していますので、とにかく来月から使うのじゃ!以上!」と説明を終えました。

こうして、マニュアルなしでの導入に成功したのです。蓋を開けてみれば、意外とみんなちゃんと使いこなしてて、問い合わせもほとんどなかったんです。それに関しては、我ながら驚きました。

おそらくですが、社内リリースした時点で、経理がシステムを熟知して堂々とした態度でいるかどうかが、他部署の人間に舐められない分水嶺になる可能性は高いと思います。ここで経理がシステムの扱いに手こずって社内問い合わせに右往左往している姿を見せたら、他部署の人間に舐められます。そういう意味でも経理のITスキルとシステム理解度が、成功を左右すると言えます。

システム導入したらやめること(経理編)

システム導入前から業務見直しは着手してました。

①納品書や伝票の整理をやめる

まず「納品書」といった、どうでもいい書類の伝票整理をやめることにしました。捨てはしませんが、まとめて箱に投げ込んで、保管期間を書いて、終わりです。上司とも相談しこれからはそのようにすると正式に社内通知しました。また営業や工場にもそのようにしていいと通知しました。

②システム取り込んだ証憑は廃棄する運用に

そして肝心の請求書やレシート類ですが、「スマホで撮って捨てる、紙は経理へ回さないで」と社内でお願いしてすんなり受け入れてもらえました。

「念のため、一定期間は保管して廃棄」したい場合に「廃棄用ポスト」を設置するのがおすすめです。

③差し戻しはあまりしない

間違った申請の「差し戻し」はあまりしないほうがいいでしょう。多少の間違いは目をつぶって経理で修正処理し、「修正しました」のフィードバックもしなくていいと思います。この手法は経理だけじゃなく世の中の仕事全般にもあてはめてもいいと個人的には思うのです。

たとえば、こんなことがありました。会社の手提げ金庫のフタを閉めるのを忘れて席を離れていたことがあったのです。するとそれを見た上司が、「フタが開けっ放しだった!現金が丸見えだ!危ないだろう!頼むぞ」と大げさに言うわけです。とりあえずその時は謝罪しましたが、こうも思いました。「何も言わずこっそり蓋を閉めてくればいいだけじゃないか。誰だって閉め忘れることぐらいある」と。まぁそんな感じで、他人のうっかりミスにはどこまで寛容にカバーしてあげるかという視点を持ってあげてもいいのではと個人的に思っています。それがこちらの手間にならない場合は、という条件付きではありますが。

 

③FAXで貰う請求書は、原紙郵送をやめてもらう

FAXで請求書を貰うパターンもよくあると思いますが、原本差替えがかなり面倒くさいので、「今後はFAXのみでいいので原本郵送はしなくていいです」と取引先に通達しましょう。もらったFAXをスマホで撮ってシステムに取り込んで処理するというのは実は最強に楽なパターンだと気づくでしょう。「日本だけ未だにFAX!」という話は何の根拠もない都市伝説ですので口にするのはやめましょう。

④請求書の内容のチェックをやめる

請求書の内容のチェックさえやめました。極論を言えば、請求書に間違いがあった時、その責任が経理に行かないようにする仕組みが、システムの中でできあがってしまったわけす。経理が発注したわけでもない購買資材の請求書の中身を、経理が確認する必要なんて、そもそもないです。少なくとも、金額と勘定科目、消費税処理だけ合っていれば、大丈夫です。

ただ、振込前の、請求書の金額と伝票の入力金額が間違ってないかの再確認だけは、面倒ですが今もやってます。やっぱり最初の伝票登録時に金額を間違って入力処理してしまうことはありますので。(OCR精度は体感的に70%~80%くらいです)慣れてくればこの再確認作業もさほど時間をかけずにできるようになります。(なるべく大きいモニターで、複数ウィンドウを開けておいて確認してくのがコツです)

こんな感じに、システムを導入するタイミングで、思い切って色んなことをやめいくことが、わりと重要かと思います。

※精算システムで「インボイス番号の入力」は必須にしないほうがいいと思います。ただ「番号があるかないか」だけは申請者側で判定してもらい、チェックボックスのようなもので「番号がない」場合のみ、チェックを入れる仕様にするのがおすすめです。

 

楽じゃなかった、「苦苦導入設定作業」・・・でも楽しかった

CMを見ていると専任のサポート担当者が、設定をやってくれるのかと思いますが、実際には設定はこちらで全てやらなければならず、ものによってはITやデータ処理の知識がかなり必要なものがあります。

こまかな手当計算やルール設定では、自分で計算の「IF」式を設定に埋め込んでやっていくものもあります。サポート担当はやり方は教えてくれますが基本的に全ての設定を自分でやらないといけません。

たとえばCSVのデータを出力して取り込む時に「先頭の0」を残した状態で、エクセルでCSV編集しなければならないのですがそれをやる方法なんか、マニュアルを読んでも、ややこしいですからね。銀行口座のCSV登録の時に一番苦戦しました。

(これはエクセル最大のデメリットと言われています。私は必殺技のパワークエリで押し切りました)

来る日も来る日もこんな作業をやっていると、導入マスタ設定が終わる頃には、すっかりエクセル上級者になっていました。これができる経理は間違いなく社内SE的立ち位置になります。このレベルでデータ処理がこなせれば将来どんなシステムも楽に扱えることでしょう。

ここまで経理担当者のITスキルを各段に引き上げてくれる副次効果まで計算してシステムを作り込んでいるなら、このシステムは大したものだと思います。

それから「ここはこういう風に変えたい、新しくこういう使い方をしてみたい」とポッと思いついたら簡単に設定を変えられるように設計されているのもよくできていると思いました。思いついたことが、次々にできてしまうというのは、本当に楽しいです。こんなにやりがいのある仕事はなかなか経理の普段の仕事にはありません・・・。

導入が終わって運用が始まった時点で、妙な寂しさすら感じてしまったぐらいです・・・。あぁもうこのワクワク作業も終わっちゃうんだ、と。

新システムをローンチするってこんな感じなのかぁと実感しました。

一人経理でシステムがブラックボックス化する懸念

一人でシステム導入設定に関わっていると、私がいなくなったら誰がこのシステムを管理者として運用していけるのだろうという不安が、経費精算システムに対しても、よぎりました。

まぁそんなものは、今に限ったことではありません。会計システムやそれ以外の、経理に押し付けられた社内システムの全てがそうです。面倒なことを一人の人間に押し付けた会社が悪いのであってその経理担当者のせいではないと思うしかありません。

それでも一つだけ言えることは、従来の会社のやり方の通りにシステムを合わせるのではなく、システムに会社のやり方を合わせていく方がは各段にメリットが大きい、ということです。

ここで躓いてしまうと「全然楽じゃない!」になってしまうんじゃないかなと思うんです。

この考え方は、実際に普遍性があると思われますので、ぜひ新しいシステムを社内展開する際は、強調するべきだと思います。

あとは、「細かいことには目をつぶる」も大事です。

某システムの改善してほしいところ

それでも改善してほしいと思うところはあります。

以下の3点は早く対応してほしいです。

①PDFの一括アップロード対応(1件ずつアップロードは面倒すぎる)

②T番号で、支払先をマスタから自動で名寄せ呼び出し

③伝票申請画面からも、PDFアップロードができるように

せめてこれぐらいは対応してほしいです。

経理の仕事はどう変わるか

暇になると思います。今までもそれなりに暇でしたが、ますます暇になるでしょう。ですのでさらに高度なおあつらえ向きの仕事をやらなければいけません。

おあつらえの仕事としては、他の人の仕事も暇になるようにお手伝いをしてあげる、というのがストーリー的には最もベストではないでしょうか。

それらを正しく自分の成果にする技術も磨かなければいけませんね。経理はそういうのが苦手な人も多いと思いますが、これからは仕事の食い尽くしの成果とアピールの大時代が始まると予想しております。経理は比較的恵まれた環境があり、数字に強く自分の成果をアピールしやすいと思うので、ぜひこのチャンスを逃さないように頑張りましょう。

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Author : モメン

アニマル好きな経理職。クールに装いながら、たまに新聞記者並みに時事問題とか語りたい系。

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