どうモメンです。
本日は経理にとって【FAX】がいかに便利で、汎用性があり、持続可能性があり、問題解決の道具になりえるか、そのポテンシャルについて緊急提言したいと思います。
その前に、【請求書の電子化】の世の中の流れが、経理にとっては【実務崩壊】寸前の局面に来ていることを、まず訴えたいと思います。
かなり疲れ果てた電子請求書のダウンロード作業
インボイスの準備をしながら、取引先から請求書電子化のごり押しの電話を受けて、「すみませんインボイス準備でそれどころではないので後でやります」と回答し、ずっと放置してきました。
もうすでに何十社と、登録してきたのですが、ふと疲れて、「もうこれ無理じゃね?」と思ってしまいました。
ここが無理と感じる要素としては、やはり「ログイン&パスワード&ダウンロード」のコンボです。
しかも、いちいちURLのアドレスをブラウザに手入力するところから・・・笑
(さらに1社につきなぜか15個分ものアカウントを登録させられたこともありました・・・電話で抗議すると担当毎に請求書発行するシステムだからとか言われました・・・)
「部分最適」しか頭にない中途半端なナンチャッテDXで世の中がかえって不便になる実感・・・ありまくり?
DXとは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」を経て「デジタルトランスフォーメーション」へと三段階で進化するポケモンのようなものです。
最終形態は「価値の創造・変革」と定義されており、ここに到達しているものが真のDXであって、今世の中にあるDXは全てこのレベルにははるか及ばないものがほとんどだと思います。
あるいは、第三形態は、絶対に実現不可能かもしれないと。ふとそんな気がしました。
その結果、誰かに負担を押し付けたり、全体の負担を増やすだけの「部分最適化」をより狭くした範囲での質の低いDX(「やたら面倒くさいセルフレジ」や、「いちいちログインして請求書ダウンロード」)の方が世の中に蔓延して、それゆえむしろ世の中ますます不便になっていく可能性さえあるのではないかと、思います。
世の中を便利にしてくれるはずのDXが、やがて人々に牙を向くリヴァイアサンになり得ると・・・
素人考えですがこの現状を打破するには、各DXサービスをもっと厳しい免許皆伝性にして、次のような要件の備え付けを必須にする必要があると思います。これこそ政府主導でやるべきです。
①おじいちゃんでも子供でも分かるUI設計になっている
②担当者名・個人のメールアドレスなどを登録する設定にしない
③連絡のやりとりは基本FAXで。返信FAXをOCR技術で取込みできるフォーマットも必ずセットで開発する。
仕事をしていると分かりますが、「各社サイトに自分のアドレスを登録する」ことほど、みんなが嫌がる仕事はありません。
とくに「丸投げ正当化アナログ上司」VS「デジタル担当押し付けられ部下」での仕事量格差はどこもヤバい状態になっていると思います。
受取担当者まかせの電子化は、放置されるリスクが相当ある
このようなリスクはどの会社にもつきものだと思います。
例として、いいかげんな営業担当者が、顧客からメールで受け取った「しょぼい注文メール」の、放置率の高さを想像してみましょう。
または、しっかり者の営業担当者の、退職を決心した期間からの「そこそこ重要な案件の注文引き合いメール」の放置率も、これまた高かったりします笑
(余談ですが、ニッチで競争のない企業では日常茶飯事です)
「いいかげんな営業担当者じゃなく、社内連絡を回せる受発注の窓口担当者に情報が伝わってればそれでいい」となれば、必然的に注文書はFAXで送るようになります。
請求書も全く同じです。「請求書電子化のお願い」を、担当者(経理ではない)に送ったはずが、何か月も放置され、その間、代金は支払われず、サプライヤー様に大変迷惑をかけたことがありました。
その時、放置した担当者(経理ではない)はこう言ってました。「ワシ、老人だから」
老人だから請求書電子化のお願いメールなど内容も読まず、完全スルーしても許されるだろう、と、そういうわけです。
まぁ、老人社員にも言い分はあるでしょう。
本当に便利だから、請求書電子化やめてFAXに回帰していこう
FAXは電話より30年も早く発明されました。
FAXは、あらゆる通信インフラの中で、条件制約を受けにくく安定した情報伝達・記録媒体として【優れた普遍性】を有しており、その競争力ゆえに今日まで人類に欠かせない仕事の道具として生き残ったと考えます。
個人的にはメールを発明した人は凄いと思いますが、FAXもすごいといつも思うのです。
「日本だけFAXを未だに使っている、遅れている」系の話は、もはや信じてません。アメリカでも未だに使われているという話も聞きます。
何やら「日本だけFAX」の話は、あの「猫を電子レンジに入れたおばあさん」並みに都市伝説として一人歩きしてしまっただけじゃないか、と今は思います。
DXの最終形態が絶対に実現不可能と分かっていて、「質の低いナンチャッテDX」の押し付け合いでみんな不幸になるより、もっと「シンプルで楽でいい方法」があるのに、なぜそれを使わないのか?不思議でしょうがないので、せめてブログで意見提言することにしました。
「電子化を押し付けられた各社からのあらゆる請求書を、全てFAXだけで受け取れるサービスはじめました」
本末転倒じゃないか、とは言わせません。
何と言われようが、今、経理にとって本当に価値のあるDXは、絶対これだと思うのです。
基本に立ち返って、「本当の便利さとは何か」を、各社とももう一度立ち止まって考えてみてもいいんじゃないでしょうか。
(※ちなみにFAXを印刷する設定にしている場合、電帳法の「電子取引」になりません。FAXをPDFのままで受領すると「電子取引」になります。紙で印刷したものをPDF化して電子保存する場合は、「スキャナ保存」の要件タイムスタンプを満たす必要があります・・・・・・・が、こまけぇこたぁいいんだよ・・・笑)
言い忘れましたが、FAXを電子化して原本として取り扱う場合、紙の原本郵送はいりませんと事前に各社にFAXを一斉送信しておきましょう。
それでも郵便が届いてしまう場合もあります・・・ちょっと、これは見なかったことにして、箱にポイです(捨てはしません)
経理が考える理想の請求書はこれ
<送信側>
・システムから請求書を印刷するかわりにマスタ登録してあるFAX番号へ自動で送信(たいがいパソコンからそのまま送れる)
・全件、QRコードでT番号、振込先、金額の情報が請求書に埋め込まれている(そもそも、こういのを法律で強制するべきだった)
・送付案内は付けない(紙の無駄だしみんな要らない)
<受取側>
・月末になったら勝手にFAXが届く(PDF受け取りも可能)
・会計システムに取り込む(スキャナ取り込みかPDFアップロード)
・取り込んだら捨てる
・OCRで金額や振込情報を読み取ってあるから、会計システムで総合振込データを自動生成。支払も楽楽。
楽になれる方法を
仕事をしていると、「楽になってはいけない」という価値観みたいなものがひそかにあったりします。自分が大変で面倒な細々とした仕事をしている時に、誰かが楽をしているところを見ると「ずるい」と思ってイライラしてしまうのです。だから「みんなが」本当に楽になれるようにもっと本気で知恵を絞っていくしかないんだなと思います。それが幸福と全体最適に近づく真のDXだと思います。
そのためにも、「日本だけ未だにFAX」なんて所詮都市伝説ですからもう口にするのはやめましょう。