11月13日から、シャンシャンがシンシンから子離れして独り立ちに向けての準備に入ることが発表されました。
私はこのニュースは、シンシンの二人目の子パンダを見据えた上での動きかと思っていました。
しかしこのタイミングでシンシンとシャンシャンを引き離しても、シンシンに次の発情期がこの秋から冬に訪れるかどうかは全く分かりません。海外の動物園の事例を見てみますと、シャンシャンが2019年度中に中国に帰ってしまう可能性は高いと見ています・・・今回の動きはそれを見据えてのことなのかもしれません。
追記
小池都知事の1月8日の記者会見でシャンシャンの日本滞在を延長してもらえるよう中国側と協議を行う意図があることが発表されました。
なぜこのタイミングだったのか気になりますがシンシンの次の繁殖が来年度以降になってしまう可能性が出てきたということなのでしょうか?
少しほっとする感じもしますが、パンダの未来のことを考えると、シャンシャンが日本に長くいるべきかどうかは、一言では結論付けるのは難しい面もあるかと思います。
パンダは基本的に子育てをしている間はホルモンの働きが抑制されるため、発情することができません。飼育化にあるパンダであっても一年に5日程度しか発情しないパンダに与えられた繁殖の機会はそう多くはないわけです。
民間の動物園であるアドベンチャーワールドでは赤ちゃんパンダの存在が事業運営上きわめて重要な存在になっているためパンダに関する経済計算がかなり厳密に行われていると考えられますが良浜はだいたい2年に1回のペースで繁殖を繰り返しています。そのために結浜はわずか1歳で親離れさせられていました。1歳のパンダはまだまだ甘えん坊盛りなのでかわいそうですが、それでも1歳まで母親と過ごした記憶はギリギリ残るでしょう。
中国のパンダ施設のドキュメンタリ番組で見ましたが、パンダの頭数を増やすために繁殖に力を入れてきたパンダ施設でも子パンダはやはり母親パンダに育てられた記憶がないと、赤ちゃんの時から人口飼育で育てるとパンダも情緒不安定に育ってにしまったり生命力の弱い個体になってしまうことが、長年の研究から明らかになってきたようです。
通常、動物というのは本能でスイッチが入れられたように子育てをするのですが霊長類などの知能が高い動物ほど、経験と学習によって子育てをします。パンダも知能が高い動物ということが知られておりとりわけ子育てに関しては謎が多いようなのですが、中でも未熟児で生まれてくるパンダは「産む」ことにより「育てる」ことが種の繁栄のために重要な要素となるわけです。
つまり優秀な個体として選抜されてきたパンダのつがいのシンシンとリーリーの子供であり愛情たっぷり育てられたシャンシャンは種の繁栄のため高いポテンシャルを秘めた個体となる可能性が高く、和歌山アドベンチャーワールドで生まれたパンダについても言えることですが、中国に帰っても大きく期待される役割を持っています。
その時が来ると本当に寂しい気持ちになると思うのですが、どんどんその時が近づいてきてるんだなと感じる今日この頃です。