どうモメンです
本日は10月1日スタートのインボイス制度について、その困難さについて思うところを書きたいと思います。
その前に一番伝えたいことを書いておこうと思います。
インボイス対応は、楽にやりましょう。ここで苦労しても、あまり報われませんから。
まぁそれこそが【ありえなさ】なのだろうと思いますよ。誰しもそんなもののために働きたいとは思いませんからね。
不可能1 経理以外はインボイス制度を絶対に理解できない
楽楽精算のCMで「電子帳簿保存法」を15秒で解説しているものを見て凄いなと感心しましたが、インボイス制度を的確に端的に解説しようとしたら、どれだけ分かりやすいパワポを作ってもスライド12枚ぐらいのボリュームになります。
経理以外の人間は、企業の消費税納付の仕組みをまず知りません。フリーランスや、副業で色々やってるような人は別ですが。さすがにそういう人はよくわかっているのですが、それ以外の社会人相手にインボイスを説明すると、良くも悪くも、何のリアクションも返ってきません。
売上をあげて、請求書を発行して、税込お金をもらって、次に仕入品を買って、と複数パターンの図を用意して説明したとしてもです。
スマホ検索して5秒で世の中の正解が分かる単純化された世の中で、5~10分かけて読み込まないと理解できないようなことを、今時の人たちは理解する忍耐があるでしょうか?
「よく分からないが、大変らしいね。まぁ、経理が頑張って対応してくれればいいんじゃない」
部長クラスや経営者レベルでも、傲慢で尊大な人ほど、新たな知識習得ができませんから、経理の話など1語たりとも頭に入れる気がないので、その程度しか理解できません。それどころか、場合によっては自分が理解できないのを経理の説明がわかりにくかったせいというふうに何もかもを経理のせいにする傾向さえあります。
ところが製造業などにおいて、実際に資材を買ったり、経費を購入するのは経理ではありませんから、経理だけがインボイス制度を理解していても全く意味がなく、むしろ購買責任者や担当者、経営陣が理解していることが一番重要なのですが、この「理解する」ということ自体が、もうインボイスはもう無理があるのだと思います。
他人が理解するかどうかまで責任を負う義理はあるでょうか。他人が理解できなければ、それは政府のせいということにしておきましょう。
不可能2 インボイス番号がどこに載ってるか分からない
これも致命的です。
もはや「ウォーリーを探せ」状態です。
というのも、今時の請求書は、無駄に情報量が多すぎるのです。
たとえばこんな感じです。
20231001 A13084095830
30495T80986060980
3059880TT069
請求書発行日?、 顧客番号?、請求書No? 請求書コード?口座番号?
どこにインボイス番号が載っているか、一目では分かりません。
色んな会社の色んな請求書で、インボイス番号を探すのは、思ったより大変です。職人技の領域です。
経理の仕事は、まるでウォーリーを探せの絵本でウォーリーを探すような作業になってしまいます。
不可能3 経理がちゃんとしてる会社なんて少ない
1や2は経理の人間がちゃんとしてても対応できないケースでした。
経理がちゃんとしていない会社が世の中にどれぐらいあるか想像もできませんが、中小製造業で働いている実感としては、インボイスに関しては相当数の会社が淘汰の憂き目に遭うのではと思います。
ちゃんとしていない会社は淘汰されてほしいというのが政府の隠れた意図だとは思いますが、それにしても強引なやり方をするものだなと思います。
不可能4 電子請求書システム乱立しすぎ
「楽楽明細」や「billone」や「BtoBプラットフォーム」などのサービスができる前に政府が用意するべきでした。
または「ペポル」と、インボイスもしくは、「ペポル」と「電子帳簿保存法」は、せめて時間をかけてでも、足並みそろえるべきじゃなかったのでしょうか?
色んなサービスが乱立し経理が地獄絵図になると分かっていて、なぜ先手先手で手を打たなかったのでしょうか?
いや、分かります、そんなことは、この国の誰にもできないと。
不可能5 国とは、税とは何か、経理も納税者
国とは、税とは、何なのでしょうか
中学生の時の「税の作文」を思い出します。
次世代の納税者を育てるためには学校の教育も大事なのだなと、経理をやっているとふと思うこともあります。
あまりにも沢山の人が、沢山の税金を国に納めながらも一方で税に無関心すぎて、それで本当に大丈夫なのかな?
と、おせっかいながら、心配になるのです。税と民主主義は密接にかかわっており、国がわざと無関心を煽ってるのだとしたら、それは民主主義の危機なのだろうな、と何となく最近思ったりもします。
ですので、反対の声も含めて、インボイスへ関心が高まるのはそれはそれで健全なことだと思います。
というわけで、「よく分からないけど、経理がんばってね、知らんけど」のような状態は、広い目で見ると、国民にとってもあまり良いことではなさそうです。
すでにボロボロになった経理がこれ以上頑張る必要はないと思いますが、政府はもっと経理を含む関係各者が、疲弊しない方法を、時間をかけてでも設計しなおすべきだと思います。
経理の人間だって立派な納税者の一人です。国に文句を言う権利はあります。