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成人式「はれのひ」逃亡は、てるみくらぶとNOVAに酷似・・・経理として思うことは

投稿日:2018年1月9日 更新日:

てるみくらぶやNOVA、そして今回の「はれのひ」の事例でも、必ず被害者を批判するような声が聴かれます。「自業自得、良い社会勉強になっただろう」というような心無い声ですね。

ですが私はそうは思いません。被害者が出ることを避けれられない「しくみ」が世の中にあるように思うからです。

その「しくみ」を変えない限り、次なる被害者は生まれます。教訓は生かされないでしょう。

 

そこそこ大きな会社の破綻のニュースは、経理をやっている者としては、やはり気になるものです。

自分がそういう危ない会社の経理だったらどう行動したのだろう、もし会社が破綻したら、山一証券みたいなしんがり部隊のように行動できるだろうか、と自問することはあります。

今の時代では、危ない会社で頑張ることが美徳とは全く思いません。せめてリスクとリターンが一致していれば、それもありでしょうが、それもたいがいは、堅気ではない世界の話です。したがってリターンがないのにリスクしかない会社で働くメリットなど、経理にとって何も一つもありません。

とはいえ経理は、会社が継続事業として成り立つように、破綻しないように努力しないといけないという職業倫理的な使命があることはあります。どんな表現だったかは忘れましたが、会社の経理規定には通常そのようなことは書かれています。

 

私が経験したところでは、支払先のとある会社から「手形を、支払日の印鑑なしで、今すぐ発行してくれないか」という依頼の電話がかかってきたことがあります。

この「支払日のハンコがない手形」は、貰ったことがありあますので、実務ではそういうやり方もあるのか、と勉強にはなりました。

要するに、支払日を、受け取った側が好きな日付で印鑑を押して銀行に持っていくということです。たいがいは手形を貰えたらその日にハンコを押してその足で銀行に持っていくはずです。

その時は、社内で相談し、結局、手形は予定どおり月末にならないと渡せないということになったのですが、月末になると朝の早朝からその業者の方が門の前で待機しており、営業時間ぴったしに手形の集金に来られて、そのままそそくさと帰って行かれました。おそらく銀行に直行したと思われます。

あれも経理の仕事なんだな、大変だな、と身の引き締まる思いでしたが、経理では「もっと凄い場面に遭遇したことある!」的なものはいくらでも聞いたことはありますね。銀行の営業時間が終わっても夜間金庫に札束を投げ入れて貸し倒れを回避した話とか・・・

こういうレベルのことをやっている経理責任者というのは会社でもかなり重要なポジションいいるはずで、経営者には頼りにされていると思います。だからこそ、積極的に会社の粉飾などに関与していれば、てるみくらぶのように会計責任者が逮捕されることもあるわけです。

「はれのひ」でも経営者が飛んでしまって、経営を部下に丸投げしていたと元スタッフの方が証言してましたね・・・きちんと会社を運営できる人材もいなくなってしまったら、残った人たちでいくら頑張っても結果は悲惨なことになってしまうケースが多いのかもしれません。

たとえばNOVAやてるみくらぶの場合ですと、破綻する寸前まで、テレビCMや新聞広告でものすごい量の広告を垂れ流していました。

私も当時学生でしたが、そのCMの「半額キャンペーン」的なものにつられて、NOVAの店舗まで、ほとんど入会するつもりで行きましたからね。

しかしどれだけ質問しても、肝心の料金プランと半額キャンペーンの詳細を教えてもらえなかったため、腹が立ってきて「こんなに分からないことだらけでは申し込みようがありません、もう来ません」と言って帰りました。その後も電話やハガキやらが毎日かかってきたのですが、全て無視しました。

そしてその1か月後、NOVAは破綻しました。あとで知りましたがその教室は、入会者に対してレッスンの数が足りておらず、レッスンの予約そのものがほとんどまともに取ることもできないような状態だったらしいです。

 

そんな状態でも連日あれだけのテレビCMを垂れ流して、強引な割引キャンペーン等で入会者をかき集めていたというのは、それだけ運転資金の不足が深刻な状態になっていたことの裏返しだったのかもしれません。

 

倒産回避するためにはそれしかやりようがなかったという側面もある気がします。一般消費者が対象のサービス業で、一人につき数十万円規模の契約になる業界で、一度資金繰りが焦げ付けば、あとに残されるのは、かくも悲惨な、「ド派手なクライマックス」になりがちなのです。

 

 

てるみくらぶ破綻のニュースを聞いたとき、まずNOVAと何てそっくりなんだろうと思いました。

一般消費者が犠牲となるわけですが、ウン十万円がパーとなるのは、どんな人にとっても、大きな損失だと思います。金額だけではとても表しきれない理不尽さがあります。

 

消費者として警戒するとしたら、サービスに対して契約金が1回に数十万円規模になる会社、英会話や海外旅行、難関資格の専門学校などは、万が一のことは気を付けておいた方がいいかもしれないですね。

そのうち、最近になってやたらテレビCMや新聞広告を派手に打ち出すようになった会社とかは、やばいかもしれません。

「はれのひ」については、そこらへんの「広告事情」はどうだったかは知りませんが。

こうした一般消費者向けのサービス業では、一時的に資金繰りが悪化した場合立て直すのに非常にリスクが伴います。しかし危ない会社はCMをするな、広告を出すな、と禁止するわけにはいきません。それこそ破綻まっしぐらです。

この歪んだ広告が、被害に遭った消費者の「自業自得」と言い切れない、歪んだ「しくみ」がある一番の要因かと思います。

 

しくみを変えなければ、と言いましたが残念ながら私には、どう変えればいいか、あまり画期的な方法は思い付きませんね。ただ「自分だけ」が最後のババを引かなければいいと、割り切るしかありません・・・残念ながら。

でも「世の中のしくみ」としては不完全でも、個々の経理人としては、できることはきっとあると思いますよ。「もうこの会社はダメだ、破綻する」といち早く見抜くことができれば、沈みゆく泥舟からいち早く脱出するにしてもそこそこ時間的な猶予はありますから、経営者に正しき廃業の道筋を提示することも大事な仕事になるはずです。

とはいえ、それでも最後は経営者の良心次第です。やっぱり「しくみの不完全さ」の前には、経理とて無力という結論にならざるを得ません・・・

山一証券のしんがり部隊がいかに凄かったか思い知らされます。

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